「確実・短納期」を極めたミスミGの"すごい現場" 取扱商品は「さもない物」でも高収益を生む秘訣
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メーカーと商社機能の“二刀流”で、FA(ファクトリー・オートメーション)向け部品を手掛けるミスミグループ本社(ミスミG)。3000万点超、バリエーション込みで約800垓(1兆の800億倍)に及ぶ品ぞろえが最大の特徴だ。そして受注から標準2日目で出荷、納期の順守率99.7%という「確実・短納期」を武器に成長してきた。
売上高は2009年度以降、平均で10%増収をキープし、今2024年度は過去最高の4012億円を見込む。取り扱う商品の多くは、小さくて安価な「さもない物」(同社幹部)。他社と比べて技術的な優位性があるわけでもない。にもかかわらず、ITを駆使した絶え間なきビジネスモデルの進化によって、着実に業績を拡大中だ。本特集では、その舞台裏に迫る。
「変種変量」生産の極み
半円を描くように、やや幅広の複合機のような見た目の筐体が立ち並ぶ。その鮮やかな群青色とホワイトの塗装が、年季の入った工場棟の中で異彩を放っていた。
ミスミGのメーカー機能を担う子会社、駿河生産プラットフォーム(駿河S)の静岡・清水工場で昨年11月、訪れた記者が目にしたのは、不思議な形の生産ライン。構成するのは、同社が自前で開発した加工機9台だった。
「ここだけで、1.4垓もの種類の金型部品を作れます。少し見ていてください」。そう誇らしげに話すのは、駿河Sの遠矢工社長。
眺めていると、作業着姿の若い男性工員が機械の間を縦横無尽に動き回り、仕上がった棒状の製品を次々と取り出していく。長さ数センチほどのそれらは、形状がどれも微妙に異なっていた。顧客から見たミスミGは、膨大な種類の商品から必要なものを少量ずつ購入でき、しかも素早く届けてくれる便利な存在だ。
一方、その裏側には「変種変量」を極めた過酷なモノ作りの現場がある。清水工場では1件当たりの平均受注数はわずか2~4本。受注生産のため事前の計画も立てられず、1日に1000回ほど作業手順を組む必要が生じるという。
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