モノ作りの現場に革新をもたらすべく、ミスミグループ本社(ミスミG)は近年、AI(人工知能)などを活用した生産改革や新サービス開発に注力してきた。企業間でデジタル人材の争奪戦が過熱する中、どのように採用して開発を進めているのか。
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ミスミGのメーカー機能を担う子会社、駿河生産プラットフォーム(駿河S)の静岡・清水工場を歩くと、異様な光景に突き当たる。さまざまな機械が混在する生産ラインの真横に、規則正しく並んだ数列の白い長机。そこでは数人のエンジニアが、黙々とノートパソコンに向き合う。服装が作業着であることと、周囲のけたたましい稼働音を除けば、まるでIT企業のオフィスのようだ。
同工場は、作業手順の段取りをすべてデジタルで管理している。したがって現場で何か改善を施すと、システム上のプログラムを書き換える必要が生じる。その対応を迅速にこなすために、技術者が常駐しているという。
転職理由は「事業のユニークさ」
生産拠点の取材では大抵の場合、撮影場所が制限される。会社側が情報の流出を恐れるからだ。だが清水工場を訪れた記者は、ほぼ自由に写真を撮れた。駿河Sの遠矢工社長は「当社のノウハウは内側のソフトウェアにある。機械だけを見ても再現できない」と明かす。
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この自信の源となるソフト面では、別のデジタル部隊が運用やアップデートに取り組む。駿河SはミスミG本体が有する標準部品の情報を基に、製造の工程をプログラム化。それをデータベースに登録し、受注内容に応じて瞬時に呼び出すことで短納期での生産を実現している。
むろん寸法違い込みで800垓(1兆の800億倍)点に及ぶ製品に、1つずつ対応するわけではない。自動で分岐を生成するエンジンを作り、そこへ基礎的なデータを入力し、シミュレーションで正しく造れるかを確認。こうした生産システムの最新版が2025年中に完成する。日本の各拠点に導入後、海外でも横展開していく方針だ。
「自分がミスミのビジネスモデルを守っている。その実感が誇り」。そう語るのは、このプロジェクトを主導する駿河Sの岡田華奈マネージャー。新卒で入ったITベンダーから、2016年に移籍してきたエンジニアだ。
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