2026年1月には、沖縄県名護市の市長選挙が行われる。同市では米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である辺野古で工事が進む。そして、同年9月には、沖縄県知事選挙もある。
沖縄県内の選挙で毎回注目されるのが、若者の米軍基地に対する関心だ。近年、「若者は辺野古移設に反対するオール沖縄を支持しない」、「若者は基地よりも経済を優先」という指摘が、メディアやSNSで散見される。その根拠として、若者は上の世代と比べ、辺野古移設を推進する日本政府を支持する候補者に投票する割合が多いことが強調される。
これはどこまで正確な分析なのか。2025年に刊行された熊本博之・田辺俊介編『復帰50年の沖縄世論』(筑摩選書)を読んだ琉球大学の学生が行った議論を紹介しながら考えてみたい。
世代体験よりも教育による「追体験」が重要
『復帰50年の沖縄世論』の「第3章 若者」は、基地意識の世代差に注目。そして次の3つの理由から、上の世代と比較して若者(18~34歳)は、沖縄に米軍基地が集中する現状に対する「理不尽さの感覚が弱く」、「消極的に容認」するという特徴を持つと結論づける。
②沖縄の地元紙2紙を読まずネットメディアを消費し、沖縄アイデンティティを持ちにくくなっていること
③米軍基地は沖縄経済に役立っているという認識を強く持っていること
とりわけ、『琉球新報』と『沖縄タイムス』を読まないことが、若者の基地意識の年長世代との差を生んでいるという。
本当にそうなのだろうか。琉球大学人文社会学部の1~4年生約70人が参加する「沖縄の基地問題」という授業で、少人数のグループに分かれて議論してもらった。
①の世代体験とは主に、太平洋戦争末期に県民の4人に1人が亡くなったとされる1945年の沖縄戦と、そこから1972年まで続いた米軍の占領統治を指す。だが授業では、本書が世代体験を狭くとらえていることに、学生から疑問の声があがった。
そもそも戦後80年となる2025年時点で、沖縄戦を体験した世代は11万人余り。沖縄県民全体の約7.8%となる。体験者の証言や戦跡巡りなどの平和学習に講師を派遣する「県平和祈念資料館友の会」(糸満市)会員約20人のうち、戦争体験者は現在3人程度。家族や体験者から証言を聞いた60~70代が友の会を支える。




















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