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韓国新政権が日本を重視するのは意外ではない、背景にある厳しい安全保障環境から読み解く韓国の戦略的な思考

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会談する石破茂首相と李在明大統領
カナダで開かれたG7サミット時に会談した石破茂首相と韓国の李在明大統領(写真:時事通信)
※本記事は2025年6月25日9:00まで無料会員は全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

カナダで開かれたG7サミットに招待国として参加した韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と石破茂首相が現地時間6月17日に首脳会談を実施した。2025年は日韓国交正常化60年であることも踏まえ、緊密に意思疎通を図り、日韓、日米韓で連携していくことを確認した。

韓国は厳しい安全保障環境にある

対面で初となる首脳会談は李氏が6月4日に大統領に就任してから2週間足らずで開かれた。これに先立って9日にはすでに石破氏と李氏は電話会談していた。6月6日にアメリカのドナルド・トランプ大統領と電話で会談したのに続いてで、「反日」のイメージが強い李大統領が中国よりも先に日本の首脳と会談し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権に続いて対日関係を重視する姿勢を見せたことに、日本の外交関係者からは驚きの声が上がった。

だが、現在の韓国がおかれている厳しい安全保障環境を理解すれば、韓国の新政権の親日姿勢は意外ではない。韓国メディアの『国民日報』が6月6日に配信した記事は、李政権が直面する外交・安全保障問題として次の7点を挙げる。

①在韓米軍再編
②在韓米軍駐留経費の韓国側負担
③アメリカとの相互関税交渉
④米中対立の中での韓国の立ち位置
⑤北朝鮮問題
⑥国交正常化60年を迎えた日韓関係
⑦西海(黄海)暫定措置水域における中国の構造物設置

本稿では、安全保障問題に絞って現在の韓国が直面する難問を解説する。

アメリカ紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は5月22日、トランプ政権が在韓米軍約2万8500人のうち約4500人のアメリカ領グアムなどへの移転を検討していると報じた。アメリカ国防総省は報道を否定、韓国国防省も「米韓間で協議した事実はない」と表明した。

アメリカは、1953年の朝鮮戦争休戦協定の成立からまもなく締結した米韓相互防衛条約に基づき、陸海空軍を駐留させてきた。その役割は北朝鮮の侵攻を抑止することにほぼ限定され、圧倒的な陸軍中心の三軍(2000年代から海兵隊を含めた四軍)構成だ。在韓米軍の大半は、北朝鮮との軍事境界線から韓国の首都ソウルに至る「議政府回廊」に集中配備されている。

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