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沖縄の若者は本当に保守化しているのか。2026年の名護市長選・沖縄県知事選を前に世論調査の中身を再考する

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沖縄県は教育現場での、沖縄戦の記憶を継承する平和学習の実施を重視してきた。平和学習の質的課題は様々あるが、沖縄の各世代は教育によって沖縄戦を「追体験」している。

問題は、沖縄戦における米軍の本島上陸と同時に米空軍嘉手納基地などの建設が始まった、占領統治以降の歴史は、基本的に小中高では教えないことだ。背景には、生徒の保護者に基地関連の仕事に就く者が一定数おり、配慮を要する地域特有の事情がある。

全国の米軍基地の約7割が沖縄に集中するのは、沖縄の施政権が日本に返還された1972年前後からだ。基地意識を持つためには、米軍基地に対する知識を持つことが前提となるが、小中高の教育ではその機会が非常に少なく、沖縄県内の大学に進学して初めて学ぶ。

私の授業に参加した学生は、米軍の占領統治を「追体験」する。本書で紹介された質問項目と同様に、「国防政策は政府に決定権があるので、基地反対運動をやっても意味がない」と思うかについて、授業を受ける学生に質問したところ、55.8%が「あまりそう思わない」「そう思わない」と答えた。「思う」「ややそう思う」は34.6%となった。本書データ(若者の24.5%が「思わない」、54.5%が「思う」)と比較すれば、教育による「追体験」効果は明らかだ。

「オール沖縄」は知らないが基地問題には関心

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