〈大見社長の見解は?〉あおぞら銀行に潜む「再起に向けた死角」/1年間で3763億円の個人預金が流出
2023年度に米商業用不動産の引当金処理や有価証券の損失処理などにより、最終損益で499億円の赤字を計上したあおぞら銀行。財務基盤を強化するため、24年5月には大和証券グループ本社と資本業務提携を結び、同社の持ち分法適用会社として再スタートを切った。
今年度からスタートした3カ年の中期経営計画は、再起に向けた収益構造改革の青写真だ。24年度に205億円だった純利益を27年度に330億円へと拡大する絵を描く。
その柱に据えるのが国内ビジネスアセットの拡大。資本市場改革や活況を呈するM&Aのうねりをとらえ、同行が得意とするLBO(レバレッジドバイアウト)ファイナンスなどのストラクチャードファイナンスを成長エンジンに据える戦略だ。
中計初年度となる25年度の中間決算(4~9月期)は、この戦略が奏功しうることをうかがわせるものだった。
海外貸出残高の減少などによって資金利益が対前年同期比4億円の減益となる一方、LBO案件を中心とする貸出関連手数料やGMOあおぞらネット銀行の手数料、ファンド収益などが伸び、非資金利益は111億円の増益に。中間純利益は16億円増の136億円となった。
「預金調達」計画は早くも黄色信号
経営陣は「中計で描く姿に向けて順調な滑り出し」と自信をのぞかせる。しかし、中計の実現には「死角」が潜む。最大の懸念材料が「預金」の調達だ。
金利復活によって預金の重要性が増す中、あおぞら銀行の個人預金はこの1年間で3763億円も減少。減少率は1割を超える。金利上昇前の23年度末と比べると、実に4414億円もの減り方だ。
片や中計では、現在3.1兆円の個人預金を3.7兆円にまで拡大する絵を描く。強烈な減少トレンドの中で、ここから2割も増やす計画となっている。
あおぞら銀行の個人預金が流出する理由は「粘着性」の弱さだ。




















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