有料会員限定

山口県で「預金戦争」が勃発、あの手この手で預金調達に奔走する銀行の神経戦。"金利引き上げ競争"で増加する調達コスト

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
東京スター銀行藤沢支店
東京スター銀行は、ゴンチャの来店客に照準を定める(記者撮影)

特集「銀行を襲う金利ショック」の他の記事を読む

銀行が「預金」集めに本気を出し始めた。金利上昇によって貸出金や有価証券の収益性が高まる中、原資となる預金の重要性が増しているからだ。

金利引き上げや異業種連携のほか、大盤振る舞いのキャンペーンまでも飛び交う光景からは、本格的な「預金争奪戦」の到来を予感させる。

「ゴンチャ」誘致の真意

4月24日、神奈川県の藤沢駅。ペデストリアンデッキ(歩行者専用の高架歩道)で直結する東京スター銀行藤沢支店に、台湾茶の専門店「Gong cha(ゴンチャ)」の看板が掲げられた。来店客の減少によって持て余していた待合スペースに、ゴンチャが出店したのだ。

一義的には、遊休スペースの転貸を通じて賃料収入を得ることにあるように思える。だが、同行の真意は別にある。

「藤沢支店への来店客は月に500人程度。一方、ゴンチャは最低でも月間1万人の来店が見込まれる。(ゴンチャへの来店客を)なるべく口座開設につなげて、預金を置いてもらいたい」。こう意気込むのは同行の伊東武頭取だ。

金利が上昇する前から、同行は預金獲得の布石を打ってきた。まだ普通預金の金利相場が0.001%だった2023年9月、給与や年金受け取り口座に指定すると金利が0.25%に上がるキャンペーンに踏み切った。年末には従業員総出でキャンペーンを告知するティッシュ配りを敢行。伊東頭取自ら法被を着て新宿駅前に繰り出した。

「預金集めを経験した行員が減っている。(配布を通じて)預金の重要性を周知徹底したかった」(伊東頭取)

東京スター銀行
安定してお金が集まる給与や年金の受け取り口座は、銀行にとって重要な資金調達源だ(記者撮影)

今年3月にはキャンペーン内容を改定し、金利をさらに0.6%まで引き上げた。普通預金金利としては国内最高水準となり、3月の口座開設申し込みは2月と比べて約2.5倍、4月は約3倍に増えた。

もちろん、金利を引き上げることで同行の調達費用も増加する。この点については「貸出金は大半が変動型の金利。(利ザヤの縮小は)あまり心配していない」(伊東頭取)という。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD