
好調な決算の陰で、地方銀行では円建て債券の評価損が急拡大している(yamahide/PIXTA)
2025年3月期決算で増収増益の地方銀行が続出した。地銀全97行合算の当期純利益は前期比3割以上増加の1.27兆円となり、久しぶりに1兆円の大台を突破。ここ20年で見ても最大の利益となっている。
一方で、国債・地方債・社債といった円建て債券の「評価損」もまた、この20年で最大となった。全地銀合算の円債評価損(満期保有債券含む)は、2025年3月期に2.9兆円まで拡大。2024年3月期は1.18兆円の評価損だったので、わずか1年で2.5倍程度に増加したことになる。
6割の地銀が運用全体で評価損に
これにより有価証券全体の評価損益も大きく悪化している。2024年3月期は地銀全体で4.62兆円の評価益だったが、2025年3月期は1.67兆円まで減少した。1年前と比べて株価が下落したことも影響しているが、それ以上に円債の評価損が拡大した影響が大きい。
満保債券を含む有価証券全体で評価損に陥った地銀は58行。全体の約6割に相当する。2024年3月期が31行、外債評価損が大きな問題となった2023年3月期でさえ50行だったので、前期は過去2年を上回ってしまった。
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