
2025年7月、栃木信用金庫(栃木県)は、信金中央金庫(信金中金)から資本支援を受けると発表した。
栃木信金は2025年3月期決算で最終黒字2.7億円を確保したものの、金利上昇により「満期保有目的」と「その他有価証券」を合わせた国債の含み損が50億円、有価証券全体では同68億円の含み損となった。一方で、自己資本は52億円にすぎない。つまり保有する有価証券の含み損が自己資本を上回る状況に陥ったのだ。
そもそも保有する国債などの債券はデフォルトや強制減損に該当しない限り、満期まで保有すれば実際の損失が発生することはない。また自己資本比率の算定で国内基準を採用している金融機関は、国債などその他有価証券の含み損を自己資本から控除する必要もない。
こうした中で、なぜ栃木信金は信金中金から資本支援を受ける必要があったのか。
実は、自己資本比率が一定の水準を下回った場合に業務改善命令などが発動される早期是正措置には、「含み損を加えた純資産価値が負の値である場合や、負になることが明らかに予想される場合は、業務停止命令を発出することがありうる」との規定がある。栃木信金はこの規定に抵触する恐れがあったため、信金中金に資本支援を仰いだとみられる。
保有国債すべてが「10年超」
栃木信金に対する緊急的な資本支援を受けて、マリブジャパンでは全国254ある各信用金庫のディスクロージャー誌をもとに、2025年3月末の自己資本比率ワースト20位をピックアップした(次ページに「自己資本比率ワーストランキング」を掲載)。
ワースト20信金のうち、7信金で国債に占める10年超の割合が99%~100%となっており、運用期間が長期化している実態がみてとれる。また20信金すべてが、その他有価証券全体で含み損状態に陥っていた。
道南うみ街、阿南の2信金に関しては、2025年3月期決算が最終赤字となっており、業績の悪化も自己資本が減じる要因になっている。
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