不景気で貸し出しが伸びず、余った資金が債券市場に流入、利回り低下が止まらない。
今年第1四半期の経済成長率が5.3%を記録するなど、一部に改善が見られる中国経済であるが、金融市場から見える景色は、だいぶ異なる。債券市場の利回り低下が止まらないのだ。10年物国債利回りは、6月28日、2.2%と年初から0.3ポイント低下、2021年2月の直近ピークからは1ポイントも低下している。
不動産不況の長期化や、コロナ禍の後遺症などを受けた実体経済の資金需要の弱さや成長期待の低下によるものだろう。5月末の銀行の人民元貸出残高前年比は9.3%増と、年初比で1.3ポイント低下した。3月末の不動産関連貸出残高前年比は0.1%減と停滞した。
一方で、インターバンク翌日物コール金利は、6月中平均で1.8%と2021年2月中平均(1.9%)からあまり低下していない。このため、市場で長短金利差が縮小、高い利回りを求めて、より長い期間の債券を物色する動きが広がっている。30年国債利回りは2.5%を割り込み、年初来0.4ポイント低下した。
とくに、地方景気が停滞し貸し出しの伸びない地方中小銀行に加え、運用型の保険商品の予定利回りを確保したい保険会社も、長期債購入を活発化させているようだ。
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