EUが中国製EVの関税を引き上げるのをよそに、ハンガリーではEV関連の工場新設が続く。
麦秋の大平原をブダペストから鉄路で2時間半。ハンガリー南部のセゲド駅に降りると、中国の電気自動車(EV)最大手、BYD(広東省)製の白いバスが目に飛び込んできた。
車内の監視カメラも中国のハイクビジョン製だ。赤いケシの花が揺れる畑を脇に郊外へ向かうと、BYDにとって欧州連合(EU)内で初めての乗用車工場の整地が進んでいた。300ヘクタールの広大な敷地で2026年中に生産を始める。
警備員によると「中国人もすでに来て働いている」。数千人を雇い、工員の宿舎も併設する。町の人口は約16万人。セルビアなど近隣からだけでは労働力を賄えない。地元紙は、フィリピンなどアジアからも出稼ぎ労働者を受け入れると伝える。
セゲドは、19世紀半ば創業の、サラミで有名な大手食肉加工会社「ピック・セゲド」発祥の地でもある。BYDの用地の一部も、このグループの所有地だった。オーナーはオルバン首相に近い億万長者。野党支持者からは「BYDなど国外からの投資もオルバン政権に近い企業に流れる」(ブダペストの大学教授)との声も上がる。
ハンガリー生産なら「EU製」に
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら