過当競争を抑える「反内巻き」運動が盛り上がるが、過剰生産能力を解消することは難しそうだ。

中国で「反内巻き」運動が盛り上がっている。「内巻き」は、過剰で不条理な内部競争を意味し、「反内巻き」運動はその抑止を目的とする。中国では、受験、就職、出世などあらゆる場面で「内巻き」現象が見られるが、産業界における内巻きも苛烈だ。
製造業の多くで、長年にわたり激しい競争が続いてきた。しかし、ここ数年はこの傾向に拍車がかかっている。不動産不況が長期化し、消費も力強さを欠くなど内需が弱い一方で、政府による供給力重視政策で企業の供給力はますます向上し、需給バランスが崩れている。
その結果、過剰生産能力が深刻化。2025年第2四半期(4〜6月)の工業企業設備稼働率は74.3%と、同問題が深刻だった2016年第4四半期(10〜12月)と同レベルまで低下した。製品価格にも下落圧力がかかる。本年6月の生産者物価指数は前年比マイナス3.6%と33カ月連続で下落した。
供給過剰と製品価格下落により企業収益も圧迫されている。工業企業利潤総額は、2024年に前年比3.3%減少したのに続き、今年1〜5月累計も前年比1.1%減少。国内市場での内巻きを避けるため輸出を強化し、EV(電気自動車)、太陽光パネル、鉄鋼などで輸出が増え、諸外国との摩擦が強まっているのは周知のとおりだ。
中国当局「価格競争に勝者も未来もない」
共産党・政府は、昨年7月の共産党中央政治局会議で「内巻き式悪性競争を防止する」と内巻きに初めて言及し、今年3月の全国人民代表大会政府活動報告は「内巻きを全面的に是正する」と踏み込んだ。7月初めに中央財経委員会は、「企業の低価格・無秩序競争を規制し」、「後進的な生産能力の秩序ある廃棄を推進する」とした。
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