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不動産不況深まる中国、業界大手「万科」が社債の期限内償還を断念。その裏に透ける政府と金融機関の不協和音

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万科の経営は信用不安が表面化した2年前から綱渡りが続いている。写真は同社が開発を手がける海南省のマンション群の建設現場(万科の開示資料より)

中国の不動産大手の万科企業(バンカ)が、国内市場で発行した3本の社債の期限内償還を立て続けに断念し、市場関係者に動揺が広がっている。

事の始まりは11月26日、同社が2022年12月に起債した社債「22万科MTN004」の償還延期を、主幹事会社を通じて債権者に要請したことだ。この社債は期間3年、発行金額20億元(約439億円)、表面金利3%で、満期が12月15日に迫っていた。

さらに12月5日、万科は22年12月に起債した「22万科MTN005」の償還を延期するとともに、21年1月に起債した「21万科02」の早期償還オプションを行使しないと発表した。

22万科MTN005は期間3年、発行金額37億元(約812億円)、表面利率3%で、満期は12月28日。一方、21万科02は期間7年、発行金額11億元(約241億円)、表面金利3.98%で、満期は2年余り先の28年1月22日となっている。

債務再編に向けた時間稼ぎか

だが、21万科02には5年目に発行者および債権者が早期償還権を1度だけ行使できるオプションがあり、その行使日が26年1月22日に設定されていた。万科がその不行使を宣言したことは、債権者によるオプション行使の請求にも応じない可能性が高いことを暗示している。

広東省深圳市に本社を置く万科は、かつては中国の大手デベロッパーの中で財務状況が相対的に健全な1社として知られていた。だが、21年後半から始まった不動産不況が悪化の一途をたどるなか、同社でも23年10月末に信用不安が表面化した。

それでも、万科は深圳市国有資産監督管理委員会の支援を得て、2年余りにわたってデフォルト(債務不履行)を回避し続けてきた。

にもかかわらず、なぜこのタイミングで社債の期限内償還の断念を表明したのか。市場関係者の多くは、「万科の包括的な債務再編に向けた時間稼ぎが狙いではないか」との見方を示す。

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