
中国の不動産大手、万科企業(バンカ)の債務危機が深刻さを増している。同社が8月22日に発表した2025年上半期(1~6月)決算では、売上高が1053億2300万元(約2兆1584億円)と前年同期比26.2%減少。純損益は119億4700万元(約2448億円)の赤字を計上し、損失額が前年同期より21.3%増加した。
同社の説明によれば、業績悪化の主因は売上高に組み入れられる不動産開発プロジェクトの顕著な減少と、粗利率の低下にある。中国の不動産市場では2021年後半から市況の悪化が続く一方、万科がそれ以前に高値買いした土地の開発プロジェクトが決算への組み入れ時期を迎え、収益性が大きく悪化したという。
(訳注:中国の不動産会社は新築物件のほとんどを完成前に予約販売しており、購入者から受け取った予約販売収入が決算書の売り上げ・利益に組み入れられるまで1~3年のタイムラグが生じる)
現預金が半年で2900億円減
それだけではない。万科は棚卸資産の評価損として上半期に約51億1400万元(約1048億円)を計上。その額は前年同期の1.7倍に膨らんだ。その結果、投資不動産の評価損3134万元(約6億円)を加えた減損処理の総額は51億4500万元(約1054億円)に上った。
万科にとって今最も差し迫った課題は、次々に期限を迎える債務の返済資金をいかに手当てし続けるかだ。決算報告書によれば同社が保有する現預金は6月末時点で740億200万元(約1兆5165億円)と、2024年末からの6カ月で141億6100万元(約2902億円)減少した。
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