中国の不動産大手の万科企業(バンカ)が、資本市場の厳しい視線にさらされている。国際的な格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは3月11日、万科の発行体格付けを「投資適格級」から「ジャンク級」に引き下げ、さらなる格下げの可能性を示した。
具体的には、投資適格級の下限の「Baa3」だった万科の発行体格付けを取り消し、ジャンク級である「Ba1」のコーポレートファミリー格付けを付与した。また、すでにジャンク級だった万科のドル建て債券の長期格付けも「Ba1」から「Ba2」に引き下げた。
財務の「優等生」にも危機が波及
格付けのジャンク級への引き下げは、万科が発行した債券に関して短期的な元利返済能力に限りがあり、ひとたび経営状況が悪化すればデフォルト(債務不履行)が生じる可能性がある(とムーディーズが判断した)ことを意味する。
中国の不動産大手の流動性危機は2021年後半に表面化したが、最初のうちは恒大集団(エバーグランデ)に代表される過剰債務を抱えた民間デベロッパーの問題だった。
ところが2022年に入ると、かつては財務の「優等生」とみられていた融創中国(サナック・チャイナ)などにも信用不安が波及。2023年後半には、住宅販売額で業界トップだった碧桂園(カントリー・ガーデン)も深刻な経営危機に陥り、市場関係者に衝撃を与えた。
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