カナダのコンビニ大手・クシュタールがセブン買収を断念、アメリカでの独禁法対応が壁に・・・ただクシュタール側にもあった”それなりの事情”とは?

約1年間にも及ぶ、カナダ競合大手からの買収提案がひとまず終結した。
昨年夏にセブン&アイ・ホールディングスへ買収提案を行っていたカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールは、7月17日、提案を撤回すると発表した。
独禁法対応が大きなハードルに
買収断念の背景にあるのが、両社が競合するアメリカ市場での独占禁止法だ。現地のコンビニ市場で首位のセブン-イレブン(1万2000店超)と2位のクシュタール(7000店超)の統合には、競争法当局であるアメリカの連邦取引委員会(FTC)の認可が大きなハードルとなってくる。
競争環境維持のため、相応の事業売却は必須であり、セブン&アイはその規模について約2000店と試算。この事業売却に関して、両社は5月に秘密保持契約を締結。協力して潜在的な買い手との交渉を進めてきた。
しかし、アメリカのコンビニ市場は日本と異なり、細分化されている。セブン、クシュタールに次ぐ、業界3位のケーシーズ・ジェネラル・ストアーズでも店舗数は2500程度であり、いずれの同業他社も主要な買い手としての能力は乏しい。
実際、両社から打診を受けたケーシーズも交渉への正式な参加は見送り、手を挙げたのはプライベート・エクイティ(PE)ファンドだけだった。エグジットが前提で、買収後数年で市場に放出するPEファンドへの売却は、根本的な問題解決にはならず、これをもって、FTCの認可を得ることは容易ではない。
他方、クシュタール側にも事情はあった。
2024年8月に本買収提案が明らかになった直後、クシュタールの株価はネガティブに反応している。クシュタール自らの時価総額にも匹敵するセブン&アイの買収には、大規模な借り入れや増資が必須で、財務基盤の悪化や需給の緩みが嫌気された。
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