カナダのコンビニ大手・クシュタールがセブン買収を断念、アメリカでの独禁法対応が壁に・・・ただクシュタール側にもあった”それなりの事情”とは?
その後、円安の修正や、今年になってからはトランプ関税、金利上昇の影響などもあり、ファイナンスの雲行きも不透明になりつつある。北米の消費環境も悪く、クシュタールの中核事業である既存店売上高も苦戦しており、株価は低迷が続いていた。
あるディール関係者によれば、クシュタールは当初、カナダの年金機構やゴールドマンサックスの名前をあげ、「資金調達を支持するレターの提供を受けている」と主張していたが、直近数カ月の交渉過程では具体的な資金提供元について言及することを避けていたという。
「金融市場が不安定な中、数年に及ぶディールへの資金提供にコミットし続けることは金融機関としても困難だったのでは」(前出の関係者)
そんな状況で買収後の統合作業を含めて時間的、経済的コストのかかる敵対的買収に踏み切るのは得策ではない。買収提案を撤回した直後の現地時間21日には、大規模な自己株式の取得について公表している。クシュタールにも株主からの圧力が高まっていた可能性がある。
しかし裏を返せば、「これらの条件が整い次第、彼らはまたやってくる」(別のセブン&アイ関係者)。これがセブン&アイの内情を知る関係者の共通認識だ。
新中計に期待される財務目標“以外”の策
セブン&アイがこれまで通り、スタンドアローンを維持するために求められるのは、独禁法など外的与件の盾に隠れて議論を避けるのではなく、日々市場に向き合い、自社の価値を高めることにほかならない。
8月6日にはその試金石となる、新しい中期経営計画の公表をひかえている。その内容に注目が集まる一方、すでに非中核事業の整理は一定のメドも立っており、機関投資家や証券アナリストからは「事業面でこれ以上の施策は期待できない」と冷めた声も聞こえる。

主要事業会社であるセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)、アメリカのセブン-イレブン・インク(SEI)については、昨年の投資家向け説明会で2030年度の財務目標について開示済みだ。
8月6日の中計発表の場で、セブン&アイのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長は何を語るのだろうか。
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