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〈130億円で買収〉西武HDが「エースホテル」を傘下に。「ホテル数3倍増」を狙う西武とオーナー撤退で危機感抱くエースの思惑が合致

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エースホテル
アメリカのニューヨーク市ブルックリン区にあるエースホテル・ブルックリン(写真:Michael Nagle/Bloomberg)

特集「西武HD ホテル買収の勝ち筋」の他の記事を読む

「プリンスホテル」を抱える西武ホールディングスが「グローバルホテルチェーン」を目指す一手を放った。アメリカを中心に展開する「エースホテル」の買収だ。買収の主体である西武・プリンスホテルズワールドワイドの金田佳季社長へのインタビューと併せ、全2本の記事でレポートする。
【配信記事】
10月2日(木)西武・プリンスホテルズワールドワイド金田社長が語る「エースホテル買収の意図」と「次なるM&Aの方向性」

「成長戦略を掲げる中で、非常にタイミングのよい買収だった」。西武ホールディングス(西武HD)の中核事業会社のひとつ、西武・プリンスホテルズワールドワイド(SPW)の金田佳季社長は、東洋経済の取材にそう語った。

西武HDは9月16日、Ace Group International(AGI)の全株式を取得し、完全子会社化すると発表した。AGIはライフスタイルホテルの「エースホテル」を運営している。ニューヨークやトロント、シドニー、アテネ、京都などに8ホテルある。

ライフスタイルホテルとは、宿泊だけにとどまらず滞在そのものを楽しめるホテルのこと。そのためにデザイン性や独自のコンセプトを重視した造りとしている。20年ほど前から台頭し始めたライフスタイルホテルの先駆者的存在なのがエースホテルだ。

AGI株式の取得価格は最大9000万ドル(約130億円)。9月中に買収手続きを完了させた。

事業利益を今後10年で約1.8倍に

今回の買収は、西武HDが掲げる成長戦略の布石となる。

2024年5月に公表した「西武グループ長期戦略2035」では、2035年度にグループ全体の営業利益を1000億円以上にする目標を掲げた。「東京ガーデンテラス紀尾井町」(「グランドプリンスホテル赤坂」の跡地)の売却という利益押し上げ要因がない2025年度の営業利益は400億円にとどまる。

目標達成を左右するのがホテル・レジャー事業と不動産事業だ。ホテル・レジャー事業の営業利益は2035年度に430億円へ引き上げる。同事業が2025年度に見込む営業利益は234億円(前年度比25.8%増)。今後10年で約1.8倍に伸ばす算段だ。

2035年度に向けた西武HD3事業の営業利益計画
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