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〈インタビュー〉西武・プリンスホテルズワールドワイド金田社長が語る「エースホテル買収の意図」と「次なるM&Aの方向性」

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西武・プリンスホテルズワールドワイド社長
エースホテルの買収には「『プリンスホテル』にはないブランド力を補完する狙いがある」と語った西武・プリンスホテルズワールドワイドの金田佳季社長(撮影:尾形文繁)

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私鉄大手ながら、鉄道事業よりも不動産事業やホテル・レジャー事業の成長に重きを置く西武ホールディングス(HD)。9月には北米を中心に「エースホテル」を展開するAce Group International(AGI)の全株式を取得した。エースホテルは宿泊だけにとどまらず滞在そのものを楽しめる「ライフスタイルホテル」の先駆者だ。
保有不動産を流動化し、得た資金を次なる投資に向ける「回転型ビジネス」を標榜する中、買収の狙いはどこにあるのか。西武HDの中核事業会社の1つで今回の買収の主体となっている西武・プリンスホテルズワールドワイドの金田佳季社長に聞いた。

――昨年5月に発表した長期戦略で、国内外に現在86あるホテル数を2035年度には250にまで増やすという目標を掲げました。今回のエースホテル買収は、この目標達成に向けたものだと理解してよいでしょうか。

そのとおりだ。西武グループは2035年度に向けて、ホテル・レジャー事業を「日本をオリジン(起源)としたグローバルチェーン」へ成長させる方針を打ち出した。

目標とするホテル数の内訳は国内100(現在60)で海外150(同26)。このアグレッシブな数を達成するには、オーガニックグロース(自力成長)だけでは難しい。魅力的なM&A案件があれば積極的に検討している中で、エースホテルという素晴らしい案件に巡り合った。

エースはライフスタイルホテルの先駆者

――数あるホテルブランドの中から、エースホテルを選んだ理由は?

エースホテルは、ライフスタイルホテルという新たなブランドを確立した先駆者的な存在だ。創業者の1人が亡くなった後に、エースホテルを牽引してきたブラッド・ウィルソンAGI会長は、ライフスタイルホテルの代名詞である「Wホテル」(現在はマリオット・インターナショナル傘下)の第1号店の立ち上げにも関わっている。

現在、ライフスタイルホテルの多くのブランドが大手ホテルオペレーター(ホテルの運営を受託する会社)に買収された。そんな中、エースはオリジナリティーを保ち、独自のDNAやカルチャーを持っている。

画一的なホテルと違って、ライフスタイルホテルは、その場所のよさを生かしカスタマイズしていくクリエイティブ性が求められる。エースホテルは、その土地の文化を深くリサーチし、テーラーメイドでホテルを創り上げるスタイルで、西武グループが目指す「地域共生」のビジョンと共通している。この価値観の共有が買収を成功させた大きな要因だった。

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