
特集「すごいベンチャー100 2025年最新版」の他の記事を読む
粉飾決算の発覚で東証グロース市場上場から1年も経たずに上場廃止に追い込まれたオルツ。その衝撃は大きい。
「証券会社は、『ベンチャー企業の上場ハードルが一気に高くなった』と嘆いている」とAI企業の幹部は明かす。第三者委員会の報告書では循環取引の実態が示されたが、多くの人が疑問に思ったのは、監査法人から株主のベンチャーキャピタル、主幹事証券会社、東京証券取引所まで、なぜ誰も不正を見抜けなかったのか、という点だ。
循環取引は見抜きにくい
今回、オルツ以外でとりわけ責任を問われているのが、決算内容にお墨付きを与えた監査法人だ。議事録作成サービス「AI GIJIROKU」の売り上げと広告費の9割は単純な循環取引によるものだった。ただ、業界関係者の多くは「経営者が主体的に関わる不正は見抜くのが難しい」と口をそろえる。
公認会計士と監査法人の会員で構成される日本公認会計士協会は、上場企業で不正隠しのスキームが増加しているとして昨年、調査を行った。「外部と共謀して行われる循環取引は書類がそろい、お金の振り込みも行われているため、発見は困難」と指摘。その兆候や事例を整理し、防止策を提示するなど、循環取引に警鐘を鳴らした直後の出来事だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら