「30年前は120店舗あったのに…」現在は8店舗の《元気寿司》、"元気がなかった"30年を経て「最高益」「約15年ぶり新店舗」で静かに大復活の意外な理由とは?

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魚べい
回転ずし業界で、いち早くオールオーダー制を採用したのが『魚べい』ブランドだ(写真:筆者撮影)
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回転ずしチェーンといえば、売上高と店舗数ともに、4強(スシロー・くら寿司・はま寿司・かっぱ寿司)の構図がここ15年近く定着している。
その最中、着実に業績を上げているのが、業界5位の株式会社Genki Global Dining Concepts(旧・元気寿司株式会社)だ。
1968年創業、回転ずしチェーンのパイオニアに近い存在として発展した元気寿司は、1990年代に覇権を握りかけた時代もあった。その後2000年以降は大手4社に後塵を拝するものの、2023年・2024年と過去最高の増収増益を更新。2025年10月には元気寿司ブランドとして約15年ぶりに新店舗を構える。
前編記事『30年前は大繁盛、現在は全国に8店舗の「元気寿司」。衰退の背景にあった“回転ずしのファミレス化”と”デフレの波”』では、元気寿司ブランドが100店舗超→8店舗までに衰退した背景を探ったなか、後編では一周回って復権の兆しを見せる現状や、久々に新店舗を構える勝算に迫る。

タッチパネル式で注文を行い、バックヤードで作られたすしが、レーンを流れて卓に到着するーー。

コロナ禍の衛生観念の高まりや、2023年に発覚した「寿司ペロ騒動」の不祥事が重なり、現在多くの回転ずしチェーンはオーダー制に切り替わっている。回転レーンに流れるすしネタを直接取る、従来の原風景は過去の産物になりつつある。

そんななか業界で、いち早くオールオーダー制を採用して、社を業績回復に導いたのが『魚べい』ブランドだ。一見、注文方法が変わっただけで、大した違いは生まれないように思えるが、なぜ業績回復に直結したのか。

『魚べい 吉祥寺店』の外観
『魚べい 吉祥寺店』の外観(写真:筆者撮影)

2011年の東日本大震災が転機に

いまから時計の針を戻すこと四半世紀ほど。デフレが顕著に進んだ2000年前後は、スシローやかっぱ寿司などの大手チェーンが、全皿90~100円均一のレンジで熾烈な価格競争を敷いていた時代だった。

こうした波に後れを見せていたのが、当時社の旗艦ブランドに位置していた『元気寿司』だった。同ブランドでも1皿100円のメニューは多数揃えていたものの、150~200円の皿も用意していたことで、相対的に他社より割高な印象が拭えなかった。

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