10円駄菓子《ヤッターめん》「取引先夜逃げで未払い1500万」「粗利数円」でも倒産せずに借金ゼロを貫く大阪町工場の "逆説の経営哲学"
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1982(昭和57)年に発売され、大ヒットした「ヤッター!めん」。フタの裏にくじが付いている(筆者撮影)
原材料費は高騰、1個の利益はわずか数円、消費税導入で駄菓子屋は7割減。取引先の夜逃げで1500万円が吹き飛んだ――。
それでも年間約3500万個、ある駄菓子を作り続ける町工場がある。 東大阪市にあるジャック製菓だ。
関西大学を卒業し、マスコミ4社の内定を蹴って家業を継いだ3代目社長・中野幹さん(71歳)は、大手企業が「成長と多角化」を追う時代に、あえて借金ゼロ・駄菓子一筋を貫く。
なぜ、彼は「これしかようせん」と言い切るのか。不器用な経営哲学には、不確実な時代を生き抜くヒントがある。
1982(昭和57)年から売れ続ける「ヤッター!めん」
チャイナ服を着たおじさんが、ラーメン鉢から出現した100円玉にびっくり! なんとも味のあるイラストがトレードマークの駄菓子、「ヤッター!めん」(以下、ヤッターめん)をご存じだろうか。
ラーメン鉢風の赤いプラスチック容器に、揚げた細麺が入った「ラーメン駄菓子」だ。ポリポリかじると、麺に染み込んだチキンスープがじんわり染み出て、うま味が広がっていく。子供の頃、中身を一気に口に放り込み、濃いうま味を満喫するのが好きだった。
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