10円駄菓子《ヤッターめん》「取引先夜逃げで未払い1500万」「粗利数円」でも倒産せずに借金ゼロを貫く大阪町工場の "逆説の経営哲学"

「チープな楽しさ」が子供たちを惹きつける
「駄菓子って、幼いときに一度は通る食文化でしょう。友達同士で寄り道して駄菓子を選ぶ時間、くじが当たるかもしれないワクワク感。ゲームもええけど、この『チープな楽しさ』を経験してから次にいくのがええんちゃうかな。無くなってしまうのは寂しいやん」
薄利多売の厳しい現実の中でも、彼を突き動かすのは、幼い頃の自分や、子供たちが駄菓子に抱く「ワクワク」への愛着だ。
小さな顧客から、「ファンレター」も届く。
「遠足のおやつ代、200円全部ヤッターめんに使ったよ」
「くじで100円の当たりが出て、またヤッターめんと交換したよ」
子供たちは、全国にまだ200軒以上は残るという駄菓子屋、スーパー、大型商業施設などでヤッターめんに出会っている。クリーニング店、銭湯、八百屋でサービス品として配布しているところもあるそうだ。

「やっぱり手紙はうれしいやんね。いつも手書きで返事を書いてます。色紙にキャラクターを描いて送ることもあるよ」
彼らの喜ぶ顔を想像するとやめられない。また、「ジャックさんとこの商品は間違いない」「あんたのとこの商品は何出しても間違いなく売れる」と、20年、30年取引を続けてくれている卸売先も裏切れない。
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