カルビー「本気の全社DX」で判明した意外な最適解 全社データをつなぐキモは現場社員のノウハウ

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カルビーは全国1700の契約農家から原料を仕入れている。「フィールドマン」と呼ばれる社員が土づくりやばれいしょの研究、栽培のアドバイス、貯蔵管理などを担当している(写真:カルビー)

ポテトチップス、じゃがりこ、堅あげポテト、かっぱえびせん――。人気スナックの品質を保つために、スナック最大手・カルビーがDXの試行錯誤を続けている。

カルビーでは原料、生産から物流、営業まで、さまざまなデータを持つ。2019年にDX推進委員会を立ち上げ、データをつなげることや、DX人材の育成に取り組んでいる。当初はトップダウンから始まり、ITベンダーから教わることもあったDX化だが、数年でどう変化してきたのか。

DXは現場人材じゃないとダメ?

「アナログをデジタルに置き換える、泥臭いところからやっています」。こう語るのは、カルビーDX推進部の森山正二郎部長。

最初に手がけたのは、生産の要である工場だった。人手不足もあり、省人化や作業の効率化は急務。そこで滋賀県の湖南工場をDXのモデル工場に指定し、解決策を探ってきた。

たとえば生産日報。多くのチェック項目があり、特に管理職は日報の管理にかなりの時間を要していた。ITツールを活用して日報を電子化するとともに、工場の機械にさまざまな機器を取り付け、自動で検査・記録するなど、人の作業を省くようにした。

揚げたてのポテトチップスの油分・水分・色味の検査も、数時間おきに手作業でサンプリングしていたが、機械を用いて全量を検査するようにした。人による作業がなくなる反面、秒単位でより多くのデータが集まるようになったという。

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