カルビー「本気の全社DX」で判明した意外な最適解 全社データをつなぐキモは現場社員のノウハウ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

生産現場にとどまらず、マーケティングも進化している。ポテトチップスやじゃがりこなどのブランド別ではなく、ポテトチップスの「うすしお味の60グラム」「コンソメパンチの80グラム」など、単一商品ごとの費用構造を算出できるよう見直した。

商品別に、ばれいしょなどの原材料費、製造経費、間接コスト、値引きコスト、販売店に支払うリベート、社内拠点間の物流コストまで項目ごとにガラス張りにすると、社員もつかめていなかった特徴と課題が浮き彫りになってきた。今後は工場のデータと単品のコスト構造を紐付け、改善を進める予定だ。

全社最適のシミュレーションを探る

現在は、さまざまなデータを取り込んだ、シミュレーションツールの構築に着手している。「特定部門だけでなく、一気通貫で全社最適のオペレーションをやることがポイントになる」と田邉和宏CFO(最高財務責任者)は語る。

たとえば、かっぱえびせんを2つの工場で作っているとすると、1つの工場で生産したらコストがどう変わるかをシミュレーションできるようになる。物流費の上昇と生産コストの低減を天秤にかけて、どちらが効率的かを試算できる。

複数シナリオを比較することで、緻密なマーケティングが可能になる。これにより経営の意思決定を、生産から物流、営業、マーケティングまで、全社的な状況を見て素早く判断できるようになる。

「シミュレーションツールは仮運用を進めながら2025年にかけて構築し、2026年には実際の戦略立案に生かしていく」と、S&OP推進部の大江智之部長は語る。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事