100年以上の歴史がある重要文化財の建物なのに…東京駅内の「名門ホテル」に海外客がピンとこない事情

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(写真:yama1221/PIXTA)
重要文化財・東京駅丸の内駅舎の中で100年以上にわたり多くのゲストに愛され続け、2012年の再開業後は驚異のリピーター率40%を誇る東京ステーションホテル。
国内外の数々のアワードに輝くそのサービスの真髄に初めて迫った書籍『東京ステーションホテル 100年先のおもてなしへ』(上阪徹著)が先頃発売された。
入社3年目のスタッフから総支配人まで、11のStoryから見えてくる名門ホテルの「100年先を目指す」唯一無二のおもてなしとは?
海外のゲストにホテルの利用を促し、その価値を伝えるインターナショナルセールスのStoryから、一部抜粋してお届けします。

〝ステーションホテル〞というネガティブな印象

日本の首都、東京。その中心地にして日本中の鉄道ネットワークの最大のハブになっているのが、東京駅。そこに隣接するアクセス抜群のホテル。しかも100年以上の歴史がある重要文化財の建物で、目の前には皇居。さらには、日本らしいホスピタリティへのこだわり。海外のゲストからは、その魅力を理解されやすいのではないか、と思いきや、2023年からセールス グローバルアカウントマネージャーを務めている、松永彰子(まつながあきこ)はそうではないという。

「ヨーロッパを旅した経験があるならご存じの方も多いと思いますが、そもそも駅のイメージや駅にある〝ステーションホテル〞のイメージがすごく悪いんです。各国に有名な中央駅がありますが、いずれも治安が良くない。それこそ、日本人向けのガイドブックでも、日本人は泊まってはいけない、なんて大都市の駅前のホテルがあったりします」

駅の近くで利便性はいい。しかし、治安は良くない。〝ステーションホテル〞というだけで、まずはそんなイメージを持たれてしまうのだ。端的に、治安悪い、古い、汚い、うるさい、という印象だという。

しかも、東京駅という存在がまた理解されにくいのだという。東京というのは都道府県の名前であり、渋谷や新宿のような地名ではない。東京にある東京駅、がピンとこないのだ。

「丸の内というと、日本人にとっては特別なエリアで、名だたる外国のホテルがあるわけですが、丸の内という地名が世界に広く知られているわけではありません。住所にしても、東京都千代田区東京ではないし、なかなか説明が難しいです」

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