ニューオータニ、儲けるだけの再開発しない矜持 「ミスター総支配人」が語る究極のホテル作り

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しみず・はじめ/1979年入社。マネージメントサービス部長、料飲部長などを経て2002年にホテルニューオータニ総支配人に就任。2008年から代表取締役常務(撮影:尾形文繁)
富裕層インバウンドの増加を見据え、外資系高級ホテルの開業ラッシュを迎えている。今後5年で開業する高級ホテルの8割が外資系という驚きのデータもある。出店で劣後する中、国内系ホテルに巻き返し策はあるのか。
総支配人は、各ホテルの宿泊部門から朝食などの食事まで、ホテルのすべてを取り仕切る「顔」ともいえる存在だ。激変するホテル業界をどのように見つめているのだろうか。4人の名物総支配人を直撃する。
【過去の連載】
12月2日配信:パレスホテルに10年住む総支配人の「改装秘話」
12月9日配信:歌舞伎町で1泊10万円「高級ホテル」は成立するか?
12月16日配信:ハレクラニ沖縄、「開業のプロ」が明かす誕生秘話
最終回に直撃したのは、御三家の一角「ホテルニューオータニ」(東京都千代田区紀尾井町)の総支配人である清水肇氏だ。同ホテルは客室数1474、レストランは37を数える巨艦ホテルである。
総支配人に就任したのは2002年で、運営会社であるニュー・オータニの代表取締役常務も務める。清水氏はニューオータニをいかに支えてきたのか、また建て替えの可能性など今後の運営方針について聞いた。

「ニュー」のアイデンティティがある

――コロナ禍で結婚相談所などの新規事業を始めました。チャレンジングな社風はどこから生まれてくるのでしょうか。

ニューオータニは、オーナー(創業家である大谷家)がチャレンジすることに対して非常に前向き。判断に時間をかけるのではなく、即断即決で「やってみよう」と言ってくれる。そこに、ニューオータニの「ニュー」のアイデンティティがある。

ニューオータニの創業者は鉄鋼会社の経営者。1964年の東京オリンピックを開催するに当たってホテルが不足したため、国からの要請を受けてホテルを開業した。

オリンピックが終わった翌1965年には顧客が来なくなったので、アパートにするという話もあったようだ。しかし知恵を出して顧客に来てもらう努力をした。

コロナ禍になったときもここで諦めたら終わりだから挑戦をしよう、ということで新規事業を始めた。それが社風なんだと思う。

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