ニューオータニ、儲けるだけの再開発しない矜持 「ミスター総支配人」が語る究極のホテル作り

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これまではホテルは泊まることを目的に利用してもらっていたが、コロナ禍以降、(アニメキャラクターなどとの)コラボルームを始めた。ホテルを使って自分のライフスタイルを楽しむことを提案する狙いだ。

ブライダルの現場から提案があり始めたマリッジコンシェルジュ(写真:ニューオータニ)

またニューオータニのブランド力とノウハウを活用する事業として、2022年からマリッジコンシェルジュ(結婚相談所)も開業した。

現場の若い女性スタッフから「ニーズがある」と提案されて始めた事業だ。

――本館11・12階に位置する最上級のホテルインホテル「エグゼクティブハウス禅」(2007年開業)の立ち上げに関わったと聞いています。

ブランドを一番とがったところまでもっていきたい、究極のホテルを作りたいというのが原点にあった。(数々の高級ホテルが林立する)ニューヨークに出しても負けないホテルを作りたかった。

5つ星評価が欲しかった

われわれのような独立したホテルブランドは海外では知名度が低い。海外で知名度を上げるためには2つの方法がある。1つがレップ(販売や商品企画、プロモーションを行う代理店)に入ること、もう1つが外部の公正な評価をもらうことだ。

OTA(オンライン旅行予約サイト)の時代になることを考えると、フォーブス(ホテルの格付けを行うトラベルガイド)の5つ星評価が欲しかった。禅が5つ星評価を(2020年に)獲得したことで、外国人宿泊客も安心してニューオータニに泊まってくれる。

国からの要請を受けて1964年に開業したホテルニューオータニ。今年で60周年を迎える(撮影:尾形文繁)

――宿泊や宴会など各部門長を経て、総支配人に就任した経歴は珍しいですね。

1964年にホテルニューオータニが開業してから、私は4人目の総支配人だ。当ホテルの規模が大きいし、オーナーサイドは長いスパンで総支配人を見てくれる。

ニューオータニは通常のホテル3軒分くらいの客室があり、レストランも37軒でほかのホテルの5倍くらいある。宴会場も33ある。祝日も夜もつねにすべての宴会場に料理が出ている。ホテルのすべてがわからないと、何が起きているのかわからない。

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