ニューオータニ、儲けるだけの再開発しない矜持 「ミスター総支配人」が語る究極のホテル作り

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宴会は特定のホテルでしかできないノウハウになってくる。ウェディングをやらないホテルが増えているが、利用客にファンになってもらうほか、土日の宴会場を稼働させるためにも必要だ。あとはやはりレストランも重要で、おいしいものを食べたというのは顧客の印象に残る。

すべてがそろっていて、ニューオータニに行けば完結する。そういったハードを持っているホテルは強いと思う。

ーーコロナ禍を経てホテルは売り上げから収益重視に変わりました。

入社したときから「ホテルはエアラインと同じで在庫を持てないから、稼働率重視で安くても売り切れ」と言われていた。だがいまではシーズンに合わせて、単価を上下させるのが当たり前になってきている。付加価値をつけて販売をすれば宿泊客も納得をしてくれる。

室内にヒノキ風呂がある客室「新江戸デラックス」(写真:ニューオータニ)

公共奉仕と観光振興のためにホテルを開業

無理をして客室を埋めるよりも、売れる日に単価を上げれば収益性は高くなる。売り方が変わってきたと思う。

また(土地や建物など)資産を売却して運営に特化するアセットライト式のホテル経営が広まった。経営者がリスクを取らなくなっていると思う。

一方、ニューオータニの開業当時の訪日外国人客は年間35万人だった(2023年は2500万人)。だが公共奉仕と観光振興のためにホテルを開業した。われわれはこの創業者の精神に立ち返る必要があるのではないかと思う。

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