「今夜の会食で予約していたのに、当日に倒産するとは・・・」 高級中華料理の名門《聘珍樓》倒産の一部始終 “3度目の倒産”は必然か

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横浜中華街
老舗の中華料理店「聘珍樓」とグループ2社は、5月21日に東京地裁へ自己破産を申請した(写真:node / PIXTA)

「ちょうど今夜の会食で予約していた。それが当日に倒産するとは……。これから急いで別の店を探します」(60代男性)

老舗の中華料理店「聘珍樓」(へいちんろう、横浜市)とグループ2社は5月21日、東京地裁へ自己破産を申請し、同日開始決定を受けた。

「萬珍楼」「菜香新館」とともに、横浜中華街の御三家のひとつとして知られた「聘珍樓」。同社グループは2017年、2022年と過去に2度、裁判所に法的手続きを申し立て(倒産)、経営再建に取り組んできたが、「3度目の正直」とはならなかった。

「なんだかんだ言って、ブランド力があるから大丈夫だろうと思っていた」「資金繰りが厳しいことは聞いていたが、まさか倒産とは……」――。

複数の取引先関係者がこう振り返るように、多くの予約客が破産の当日、突然連絡が取れなくなり、大きな混乱に巻き込まれた。冒頭の60代男性もその1人だった。

現存する日本最古の中華料理店だった

聘珍樓
創業140年以上も看板を守ってきた(帝国データバンク撮影)

聘珍樓のルーツは、1884年(明治17年)に横浜中華街(当時は南京街)で創業した中華料理店にさかのぼる。同じ時期に開業した多くの中華料理店が、1923年(大正12年)の関東大震災や1945年(昭和20年)の横浜大空襲による被害で廃業に追い込まれるなか、創業以来140年以上にわたって看板を守り続けてきた。

「現存する日本最古の老舗中華料理店」とも言われ、筆者が生まれ育った横浜のソウルフード「サンマーメン」を考案したことでも知られる存在だった。

人工調味料や着色料は使わず、本場の中国人シェフが厳選した食材を使って、食の安全と美味しさにこだわった良質な料理を繰り出す聘珍樓の名は全国区となっていた。

聘珍樓のリリース
破産の当日、多くの予約客が店と突然連絡が取れなくなり、大きな混乱に巻き込まれた(写真:聘珍樓ホームページより)
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