
四国の玄関口である香川県高松市のJR高松駅。その改札口を出てから北に歩いて数分で、瀬戸内海に浮かぶ島々を思わせる大小2つの真っ白なドームが見えてくる。
本物の瀬戸内海を望む港湾地区にできた県立のアリーナ施設「あなぶきアリーナ香川」だ。
最大収容人数約1万人の大規模施設、こけら落としはサザン、街ぐるみの盛り上がり――。そのインパクトは中国・四国各地を刺激し、都市間の“アリーナ競争”が激しさを増そうとしている。
市民に選定過程を公開
あなぶきアリーナは旧香川県立体育館の移転新築の位置付けで、県が約202億円を投じて建設した。
設計は「金沢21世紀美術館」をはじめ、国内外で高い評価を受ける日本人建築家・妹島和世と西沢立衛によるユニット「SANAA」。建設は大林組・合田工務店・菅組JVが請け負った。
メインアリーナとサブアリーナ、そして武道施設などが1枚のうねる屋根によって結ばれた柔らかな印象の建築だ。緩やかな坂から各エントランスにたどり着けるアプローチなど、バリアフリーに対する配慮も感じさせる。

地元不動産業の穴吹興産が命名権を取得し、グループ企業の穴吹エンタープライズが代表の共同企業体が指定管理者を務めている。
最近のアリーナ計画では設計・施工から数十年間の運営までを一体で決める「BTコンセッション」などの方式が多くなっている。しかし、香川ではそれぞれを分離発注するオーソドックスな方式を採用した。その上で設計者の選定では公開プレゼンテーションの場を設けて市民に選定過程を公開。運営・管理は指定管理者制度でまず7年間の事業を地場企業に任せた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら