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「あなぶきアリーナ香川」に刺激されて中四国で多くのアリーナ計画が浮上、岡山では中止を求める署名活動、広島では「夢」を求めて署名活動

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香川県高松市に今年2月に開業した「あなぶきアリーナ香川」。2つのアリーナを包むドーム屋根は瀬戸内海に浮かぶ島々を連想させる(2025年5月14日、筆者撮影)

四国の玄関口である香川県高松市のJR高松駅。その改札口を出てから北に歩いて数分で、瀬戸内海に浮かぶ島々を思わせる大小2つの真っ白なドームが見えてくる。

短期集中連載の第3回をお届けします

本物の瀬戸内海を望む港湾地区にできた県立のアリーナ施設「あなぶきアリーナ香川」だ。

最大収容人数約1万人の大規模施設、こけら落としはサザン、街ぐるみの盛り上がり――。そのインパクトは中国・四国各地を刺激し、都市間の“アリーナ競争”が激しさを増そうとしている。

市民に選定過程を公開

あなぶきアリーナは旧香川県立体育館の移転新築の位置付けで、県が約202億円を投じて建設した。

設計は「金沢21世紀美術館」をはじめ、国内外で高い評価を受ける日本人建築家・妹島和世と西沢立衛によるユニット「SANAA」。建設は大林組・合田工務店・菅組JVが請け負った。

メインアリーナとサブアリーナ、そして武道施設などが1枚のうねる屋根によって結ばれた柔らかな印象の建築だ。緩やかな坂から各エントランスにたどり着けるアプローチなど、バリアフリーに対する配慮も感じさせる。

緩やかな坂を上ってメインアリーナ(右手)やサブアリーナ(左手)にたどり着く「あなぶきアリーナ香川」のアプローチ(2025年5月14日、筆者撮影)

地元不動産業の穴吹興産が命名権を取得し、グループ企業の穴吹エンタープライズが代表の共同企業体が指定管理者を務めている。

最近のアリーナ計画では設計・施工から数十年間の運営までを一体で決める「BTコンセッション」などの方式が多くなっている。しかし、香川ではそれぞれを分離発注するオーソドックスな方式を採用した。その上で設計者の選定では公開プレゼンテーションの場を設けて市民に選定過程を公開。運営・管理は指定管理者制度でまず7年間の事業を地場企業に任せた。

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