「なぜ、競争の厳しい家電市場に参入?」家具のニトリがドラム式洗濯乾燥機を販売する深い事情

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(撮影:今井康一)

家具インテリア商品の最大手ニトリホールディングスの10万円を切るドラム式洗濯乾燥機が発売され、テレビCMなどでも頻繁に見かけるようになった。ドラム式洗濯乾燥機の売れ筋価格は20万円ちょっとである。しかし、ニトリは機能を絞り込むことで低価格を実現した。これはかなりインパクトがあったようで、日経MJの「2025年上期ヒット商品番付」でも東の関脇にランクインしていた。

10万円を切るニトリのドラム式洗濯乾燥機(写真:ニトリネットより)

ニトリはこれまでも小型家電を中心に、主に単身世帯向けに家電製品を拡充してきた。最近では品揃えを白物家電にも広げつつ、売り場も拡大し、家電専門売り場を全国の店舗に拡大していく方針だ。

ただ、家電といえば大手家電量販店がしのぎを削るレッドオーシャンのイメージがある。マスコミの方々からも「なぜ、そんな競争の厳しい市場にニトリは参入するのか?」といった問い合わせを受けることが増えてきた。実際、ヤマダホールディングスはすぐに、ほぼ同価格のオリジナル商品を投入して対抗している。家電販売の世界は今、どんな状況なのだろうか。

停滞する家電市場

家電量販店市場(商業動態統計ベース)は5兆円弱で、おおむね横ばい推移である。伸びている市場とは言えない。多種多様な家電製品がすでに出揃っている感もあり、パソコンやスマホもすっかり普及した今では、画期的な新ジャンルもなかなか出てこない。

家電購入といえば、住宅の新築や引っ越しといったタイミングが最も大きなチャンスだろう。しかし、人口減少が続く国内では住宅着工件数が長年右肩下がりで推移しており、引っ越しの件数も2024年が戦後最低を更新した。家電市場が厳しいマーケットであることは間違いない。

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