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JR東海の新幹線「推し旅」が話題沸騰、聖地巡礼だけじゃない、アイドル、アニメ、動物園…何でもあり、運転士など異色メンバーのすごい企画力

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JR東海の需要創出グループは多種多様なバックグラウンドを持つメンバーがそろう。左からグループリーダーの伊藤悟さん、川本千恵美さん、今尾光さん(記者撮影)
会社を動かすのは現場のビジネスパーソンだ。人気商品やサービスが生まれた背景、新たな挑戦の狙いとは。本連載では、その仕掛け人を直撃する。 

 アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」、アイドルグループ「BEYOOOOONDS(ビヨーンズ)」、プロ野球球団「千葉ロッテマリーンズ」――。

JR東海が2021年から展開する「推し旅」は、東海道新幹線を利用し、特定のアイドルやアニメキャラクター、スポーツチームなどの「推し」を応援するイベントやツアーに参加できるサービスだ。多岐にわたるコンテンツと連携し、その企画の独自性が利用者の間に広がり、現在では年間100本を超える人気コンテンツに成長している。

2025年6月2日から9月30日にかけては、「JR東海×ラブライブ!サンシャイン!! 沼津ゲキ推しキャンペーン」を開催している。JR東海の推し旅サイトからアクセスした利用者は、新幹線車内限定(期間限定)で「僕らの旅は終わらない」リリックビデオのショートバージョンを視聴できる。

さらに、アンケートに回答して乗車証明を取得すると、描き下ろしキャラクターのスタンド付きアクリルチャームが手に入る。このキャンペーンはJR沼津駅や沼津市の協力も得て実施されており、大きな話題を呼んでいる。これまでも関連イベントを複数回実施しており、これまでに延べ3万人が参加したという。

運転士やエンジニアなど異色メンバーがフル回転

推し旅キャンペーンを推進するのは需要創出グループだ。総勢15人のメンバーで構成され、グループの旅行代理店や広告代理店からの出向者、さらには超伝導リニアの開発や、電気設備のメンテナンスに携わった人材など、多種多様なバックグラウンドを持つ。それぞれが20〜30本もの企画を同時進行させており、フル回転している。

チームリーダーを務める伊藤悟さん(42歳)も、新幹線の運転士から始まり、新幹線搭載誌の編集やグループ広報の担当など、社内では異色の経歴を持つ。

伊藤さんは、「たとえば推し活としてコンサートや聖地巡礼に訪れる際、移動中の新幹線でも動画や音声など社内限定のコンテンツで推しの世界に触れることができる。新幹線の乗車を単なる移動空間とするのではなく、楽しいエンタメ空間とすることで、推し活の旅をより楽しいものにするというコンセプトだ」と、サービスの狙いを説明する。

推し旅の利用方法は非常にシンプルだ。利用者は東海道新幹線に乗車後、スマートフォンで推し旅のホームページにアクセスし、利用したいコンテンツをクリックする。新幹線が一定の速度に達すると、音声や動画などの車内限定コンテンツを楽しめる。新幹線の乗車代金は必要だが、サービス利用料は基本的に発生しない。

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