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MS&AD「合併で事業費削減」の憂鬱、代理店との取引一本化がもたらす手数料の膨張圧力 新社名でも不毛な闘争

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MS&AD本社外観
傘下損保2社の合併に伴い、代理店手数料や人件費などの事業費削減を掲げるMS&AD(記者撮影)

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「トップラインの成長と、人件費・物件費・代理店手数料構造の見直しにより、事業費率30%を下回る水準を実現する」

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは5月27日、IR説明会で三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の「合併により実現すること」(IR資料)として、事業費の削減を打ち出した。

2024年度の事業費率は両社合算ベースで32.8%。内需縮小で収入保険料の大きな伸びが期待しにくい中、比率を30%以下とするには1500億円程度の事業費削減が必要になるという。

事業費のうち、代理店手数料(集金費など含む)が占める割合は約6割。その構成比を1500億円の削減額にそのまま当てはめると、代理店手数料を900億円強削減する計算だ。

契約シェア死守なら手数料は増加

「まあ、お手並み拝見ですね」。大手損保のある幹部は、MS&ADの手数料削減についてそう言って鼻で笑う。

合併によって同じ代理店との取引を一本化した場合、手数料の水準は往々にして高いほうに合わせざるを得えない。前述の大手損保幹部が鼻で笑うのは、手数料を削減するどころか、むしろ膨張圧力がかかることが目に見えているからだ。

その象徴的な事例になりそうなのが、MS&ADの牙城であるトヨタディーラーだ。三井住友海上とあいおいは、合併によってトヨタディーラーにおける契約シェアが55%に達すると見込む。そのシェアを死守しようとすれば、シェアの大きさに比例して手数料の膨張圧力が高まることになる。

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