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「時期尚早ではないのか」、MS&AD中核損保の合併を牽制した生命保険最大手「日本生命」の思惑

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MS&ADの舩曵真一郎社長と日本生命の清水博前社長(現会長)
MS&ADの舩曵真一郎社長(左、撮影:今井康一)と実質筆頭株主となる日本生命の清水博前社長(現会長、撮影:梅谷秀司)

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「国内損保2社の事業体制を再構築するかなど、選択肢について検討を深めることが必要だ。(中略)スピーディーに判断していく」

MS&ADインシュアランスグループホールディングスが2024年9月に開いた機関投資家向け説明会で、舩曵真一郎社長は中核損保2社の合併についてそう踏み込んだ。

政策保有株の売却をめぐり、トヨタ自動車と協議を重ねる中で、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の合併についても「方向性を共有できた」(三井住友海上役員)ことが、発言の背景にあった。

慌てたのはあいおい側だ。事前の想定問答にはない発言だったことから、あいおいの経営陣から口々に「何を勝手なことを」「ふざけるな」という恨み節が漏れた。

日本生命が合併を牽制

「時期尚早ではないのか」。あいおい側の強烈な不満を受けて、MS&ADにそう間接的に伝え、合併を牽制したのは日本生命保険だ。

日本生命はMS&ADの実質筆頭株主であり、あいおいの最大規模の「損保代理店」でもある。「あいおいと二人三脚で損保事業を育ててきた」(日本生命役員)という自負もあり、合併によって不利益を被ることはまかりならんというのが日本生命の立場だった。

トヨタと違い、合併に向けた根回しをMS&ADがほぼしてこなかったことも、日本生命としては不満だった。

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