パレスホテルに10年住む総支配人の「改装秘話」 黒船襲来で決断「過去のすべてを捨てた」大改装
富裕層インバウンドの増加を見据え、外資系高級ホテルの開業ラッシュを迎えている。今後5年で開業する高級ホテルの8割が外資系という驚きのデータもある。出店で劣後する中、帝国ホテル東京やオークラ東京、ホテルニューオータニの元祖「ホテル御三家」をはじめとする国内系ホテルに巻き返し策はあるのか。
各ホテルの宿泊部門から食事までホテルのすべてを取り仕切る「顔」ともいえる存在である総支配人たちは、激変するホテル業界をどのように見つめているのだろうか。4人の名物総支配人に直撃をする。
トップバッターは、パレスホテル東京の渡部勝総支配人。2012年の大改装を経て、「外資系ホテルと唯一戦える国内系ホテル」という評価が業界関係者からは上がっている。開業以来、総支配人を務めている渡部氏に成功の舞台裏を聞いた。
緊張感があるためホテルでは熟睡できない
――都内でリブイン(ホテルに住み込みで働くこと)の総支配人は珍しいですね。
(2012年5月の)開業の前からパレスホテル東京にずっと住んでいる。今年は自宅には1回しか帰っていない。ホテルの暮らしの中に生活があり、ライフワークそのもの。
仕事かプライベートで海外に1週間行くと、家ではなくてホテルに帰りたいなと思うし、パレスホテル東京のロビーに帰るとすごく安心する。とはいえ緊張感があるためホテルでは熟睡できない。
48年の歴史を持っていた前身のパレスホテルを2009年に壊したときは涙が出た。壊してまでホテルを作るのだから、先人のためにもいいホテルを作らないといけないという覚悟が生まれた。(開業総支配人としての)生みの苦しみもあり、このホテルが好きなんだと思う。
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