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トランプ政権の支援縮小で、予算12億円が消失――人道支援から災害支援、現代アートによる地方創生まで担うNPOの新たな挑戦

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27歳で認定NPO法人ピースウィンズを立ち上げた大西健丞代表と、団体が導入した災害医療支援船(撮影:尾形文繁、右写真:ピースウィンズ・ジャパン)

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NPOの実態は玉石混淆ともいわれるが、認定NPOはガバナンスや情報公開の義務と引き換えに、寄付に対する税控除を認められた団体だ。全国に約5万あるNPOのうち、認定を受けているのは約1200団体。本特集では、NPOや社会起業家の現状を正しく知り、理解を深める手がかりとして、活動内容や理念、財務、ランキングデータなどを取り上げていく(末尾に法人の概要を掲載しています)。

2024年元旦の能登半島地震――。現場に一番に到着したのは、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)のスタッフだった。大西健丞代表は「自衛隊も含めて、PWJのヘリコプター、車両、船の入港どれもが一番乗りだった」と胸を張る。

PWJの原点は、海外の紛争地支援にある。1996年の設立以来、2025年1月までに41カ国・地域で活動してきた。災害支援船2隻、ヘリコプター2機、ジェット機を有し、災害時にはいつでも出動できるマインドセットを組織に浸透させている。

大西氏は「個人的には8回くらい紛争地帯で活動してきた。判断のスピードが遅かったら死んでしまう」と語る。「いかに命を救うか」というノウハウを、極限状況での実践と経験から培ってきた。

2010年に災害救助犬チームの設立に動き出したとき、新たな問題に直面した。提携先を探して訪れた動物愛護センターでは、オートメーション化されたガス室で年間3700匹もの犬や猫が殺処分されていたのだ。

殺処分ゼロへ、赤字覚悟で飛び込んだ動物愛護事業

「ナチスドイツのアウシュビッツよりも生還率が低い。『愛護センター』とは名ばかりの処分センターだった」(大西氏)。2011年には「何とかしたい」という一心で、犬の殺処分ゼロを目指して「ピースワンコ・ジャパン」を立ち上げた。

問題は資金だった。犬を保護するシェルターを準備するには、設備投資が必要となる。「最初の年は収入900万円に対し、支出が1億3000万円」(大西氏)と、桁違いの費用先行でプロジェクトはスタートした。

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