まるで「NPOのエンジェル」社会起業家に伴走支援→同じ問題意識を持つ寄付者とNPOをマッチング、女性リーダー支援基金には上野千鶴子氏が出資

貧困、教育、ジェンダーなどの格差や孤立・孤独、地球環境など、さまざまな社会課題が顕在化している昨今。新しい課題も絶えず発生する中、それらの問題に税金を原資とする公共政策のみで対応していくのは現実的ではない。政府や行政の手が届かない部分において、民間や非営利団体が社会課題の解決に尽力している。
パブリックリソース財団は、市民や企業の寄付を原資として基金を設立し、NPOや社会起業家に助成を行う公益財団法人だ。代表理事の岸本幸子氏は「パブリックリソースとは、税金ではないもう1つの公共資源(寄付)で基金を作る提案だ」と、役割を説明する。
寄付者の声から生まれた女性支援基金
2021年、1人の寄付者の思いからパブリックリソース財団で設立されたとあるオリジナル基金が、現在に至るまで大きな反響を呼んでいる。
寄付者の石川清子氏によって設立された「女性リーダー支援基金」は、日本社会における構造的な男女格差の是正を目指し、あらゆる意思決定に関わる女性を増やすことを目的にパブリックリソース財団内のオリジナル基金として設立された。
公募によって女性リーダーとして今後の活躍が期待される個人を選出、活動奨励金として1人あたり100万円を支給する。
支援対象の分野は、①政治家志望者、②社会活動(NPO・NGO・オンラインアクティビズム等)の実践者、③社会起業家志望者、④女性のためのアクションリサーチの企画・実践者の4分野。2024年度は103人が応募し、NPO法人の代表者や政治家志望者など6人が選ばれた。
基金を設立した石川清子氏からの寄付は3年間という取り決めだった。4年目以降の継続がかかった瀬戸際で、公募の審査委員長を務める上野千鶴子氏が2024年度から3年間の出資を引き受けたことで支援事業の継続が実現した。昨年には女性リーダー支援基金のチャリティーパーティを開催し、参加者からの寄付も受け付けた。
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