日本に「見捨てられる」外国人の命を救う最後の砦として28年間活動するNPO…医師や看護師はボランティア「人種や国籍にかかわらず尊厳を守る」

「目の前で苦しんでいる人たちを、『日本人でないから』『在留資格がないから』といった理由で見捨てるのではなく、人種や国籍にかかわらず、一人ひとりの尊厳を守りたい」
大量の書類が所せましと積まれた、マンションの一角にある小ぢんまりとした事務所。その中で静かに、強いまなざしでこのように語るのは、NPO法人北関東医療相談会(通称AMIGOS)の長澤正隆事務局長だ。
カトリックさいたま教区で司祭を支える終身助祭も務め、事務所の壁には小さな十字架が掛けられている。
長年、群馬を中心に関東各地で支援活動を行ってきた。対象者は日本人、外国人を問わないが、実際に支援する人の多くは外国人。その多くが自国に帰れず、日本での滞在を希望している難民申請者だ。
仮放免者の壮絶な生活
しかし日本の難民認定率は、世界の先進国の中で圧倒的に低い。「自国政府からの迫害を証明する」など認定に高いハードルがあるためだ。2024年に国内で難民認定された人は190人で、認定率は2.2%にとどまった。
一方同じ年に、アメリカでは3万5701人(認定率57.7%)、イギリスでは3万7021人(同42.4%)、フランスでは4万0749人(同20.3%)、カナダでは4万8671人(同70%)が、難民として認定されている(難民支援協会による)。
では、難民申請の許可が下りなかった人たちは、日本でどのように暮らしているのだろうか。彼らの壮絶な生活ぶりは、広く知られていない。長澤氏が支援する外国人の多くはまさに、日本での難民申請が通らず、「仮放免者」として暮らす人々だ。
仮放免者とは、在留資格を持たず、国外退去の処分などが下された外国人のこと。日本で暮らす家族と離れることや、自国での身の危険を理由に退去を拒み、出入国在留管理庁の施設に収容された後、健康上の理由などで施設の外で暮らすことを「仮放免」と言う。
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