「イスラエルは中東の北朝鮮」と認識すべきだ。「世界を敵に回しても生き残る」という価値観。その内在的論理を考慮しないと見誤ってしまう。
筆者は外交官時代、インテリジェンス(情報)業務に従事する期間が長かった。日本には、CIA(米中央情報局)、SVR(ロシア対外諜報庁)、モサド(イスラエル諜報特務庁)に相当するような対外インテリジェンスに特化した機関は存在しない。だが国家が生き残るためにインテリジェンスは不可欠だ。だから実際には、外交官が対外インテリジェンス業務に従事することになる。
筆者のような専門職員の場合、上司の通訳、新聞の翻訳、領事業務や文化事業に従事するのがほとんどで、重要な交渉や、政府幹部、国会議員を相手にした情報収集を担当することはほとんどない。
慣例にとらわれなかった
インテリジェンス業務に専門職の外交官が従事することもあるが、それは公開情報や秘密公電(外務省が公務で用いる電報)を基にして分析調書を作成する作業だ。外交交渉や情報収集はもっぱらキャリア外交官の仕事、というような慣例がある。
しかしそのような慣例に筆者はとらわれなかった。それには1988〜95年というソ連末期から新生ロシアの誕生期にかけてモスクワに勤務したという偶然がもたらす要因が大きい。当時、社会が混乱し、職階制が崩れていた。安定した体制の下では、外交官はそのランクが大きな意味を持つ。筆者は三等書記官という大使館の最底辺に位置していたが、混乱期だったので、閣僚よりはるかに上位であるソ連共産党中央委員会政治局員や、ロシア共産党、リトアニア共産党の第2書記と親しく付き合うことができた。





















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