ロシアに変化を起こすのは「プーチンの死去」のみーウクライナ侵略で断絶した独露関係…『ドイツ―ロシアの1世紀』クロイツベルガー教授に聞く

――ロシアによる本格的なウクライナ侵略が2022年2月に始まってからすでに約3年半以上が経過したが、戦争終結に向けてドイツや欧州はどうすべきか。
西側諸国は冷戦時代、ソ連に対して長期間維持された原則を貫かねばならない。つまり、ロシアに対する強く決然とした姿勢の政治だ。制裁も継続しなければならない。
西欧諸国だけでは、ウクライナに対する戦争終結後の安全の保障も含め、軍事的にも経済的にも足りない。超大国アメリカの軍事的、経済的潜在力が必要で、それがなければ、持続的、平和的な解決はない。
ただ、欧州は北大西洋条約機構(NATO)内で、もっと責任を負わねばならない。ウクライナに対する兵器、弾薬の支援を続けるとともに、国内総生産(GDP)比5%の軍事支出を実現しなければならない。ドイツはそれに加え、徴兵制を再開しなければならないだろう。ただ、まずは志願に基づいて(兵士の確保を)行うことになる。
明らかに欧州の多くの政治責任者は、ロシアからの脅威がいかに深刻であるか、まだ十分理解していない。貴重な時間を無駄にしてはいけない。これらの政策は、欧州自身の政治的、軍事的利益のためだ。
このやり方で戦争に勝利できるわけではないが、ウクライナが最終的には対ロシアで、より有利な交渉の立場を取れるようにすることが重要だ。
「ディールで和平」に持続性はない
――戦争終結のためにはウクライナは一定の領土を放棄しなければならないか。

現状では、ロシアに戦争をやめさせるための交渉を、見通すことは難しい。
ロシアのプーチン大統領は最近、あからさまに交渉の用意はないことを示した。アメリカのトランプ大統領の仲介により何度か対話の機会を得たが、それを政治的な謀略に利用した。
ウクライナのゼレンスキー大統領が無条件の停戦の用意があると提案したのに対し、プーチンは断固拒否した。その代わりにプーチンは、民間人に対するミサイル、ドローン攻撃を強化した。
近いうちに和平交渉になったとしても、当事者のウクライナ人、西欧諸国を無視して、アメリカとロシアがディールで解決する話ではない。それでは持続的に安定した欧州の環境を作ることはできない。
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