ロシアの広い国土が「弱さ」の裏返しと言える根拠 西側と政治的に隔てられていても繋がっている

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アルタイ山脈
ロシアは強いから広いのではなく、弱いから広くならざるを得ないのです(写真:kamchatka/PIXTA)
まもなく3年を迎えるロシア−ウクライナ戦争。そもそも、なぜロシアは世界最大の国土を持つことになったのでしょうか。
その答えは、意外にもロシアの「弱さ」にあります。地政学動画で平均150万回再生を記録する社會部部長が、不変の地政学の法則を解説した『あの国の本当の思惑を見抜く地政学』より一部抜粋、再構成してお届けします。

ロシアを数百年悩ませる地形の呪い

強い国は往々にして、元々強いのではなく、元来の弱さを埋め合わせるために強くならざるを得ないものです。ロシアもそのような「弱点を克服して成り上がった大国」です。戦後アメリカで最もロシア事情に精通し、後にアメリカの対ソ政策を主導したジョージ・ケナンは、1946年に、ロシアの行動はその地理的な脆弱さに由来すると指摘しました。

「国際問題に関するクレムリンの神経過敏症的な見解の底には、ロシアの伝統的、本能的な不安感がある。元来これは、獰猛な遊牧民と隣合わせに、広大なむき出しの平野に住もうとした、平和な農耕民の不安であった。その上に加わったのが、ロシアが経済的に進んだ西方と接触するようになったとき、その地域のより有能で、より強力で、より高度に組織された社会に対する恐怖だった。」

ケナンはその翌年にも、ロシアの拡張主義が平野に起因していると述べました。

「ロシアは広大で無防備な平野で、何世紀にもわたって繰り広げられた遊牧民同士の不明瞭な戦いから教訓を得ている……アメリカの対ソ政策の主たる要素は、ソ連の膨張傾向に対する長期の、辛抱強い、しかも確固として注意深い封じ込めでなければならない」

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