日本のアニメ・マンガ支えるペンタブトップメーカー、ワコムに突きつけられた株主提案。業績悪化の根本原因は経営判断ミスなのか

東映アニメーション、MAPPA、CloverWorks、ufotable――。今をときめく有力アニメーション制作スタジオの現場を技術で支える日本のメーカーがある。埼玉県加須市に本社を置く東証プライム上場企業、ワコムだ。
ワコムが手がけるのはペンタブレットと呼ばれる製品だ。その名のとおり電子ペンとタブレット端末の組み合わせで、タブレット上に描いた絵をコンピューターに出力できる。中でもタブレットに画像を表示して直接書き込むことができる液晶タブレット(液タブ)が主力だ。
ワコムはスタジオジブリやディズニー向けにもペンタブレットを供給した実績を持つ。日本のみならず、世界のアニメやゲーム、マンガの制作現場でプロフェッショナルから根強い支持を得てきた。自動車など工業デザインの世界でもシェアが高い。
そんなワコムに株主提案が突きつけられている。
イギリスの物言う株主が6つの提案
提案したのは物言う株主(アクティビスト)として知られるイギリスのファンド、アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)だ。過去にTBSホールディングスや帝国繊維へ株主提案を行っており、現在もエスケー化研やロート製薬など複数の上場企業に対して経営改善を求めている。
AVIはワコムに対して社外取締役1人の選任や事業構造変革監督委員会の設置など、6つの要求をたたきつけた。後述するとおり提案のうち1つについては後に会社からの議案に組み込まれたことで、5月21日に取り下げられた。
残る5つについては6月26日に開かれる株主総会の議案として諮られる。ワコムの取締役会は株主に「反対」するよう推奨している。
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