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「強い主張を繰り返すメディアは親しまれない」「ネット出現時の失敗を繰り返していいのか」…朝日新聞社長が語った“反省”とAI時代の生き残り方

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リベラルなクオリティペーパーとして存在感を放ってきた一方、「上から目線」などと叩かれることも。この先「朝日新聞らしさ」をどのように定義するのか(撮影:尾形文繁)

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戦後日本におけるジャーナリズムの代表格として長く存在感を放ってきた朝日新聞社。しかしデジタル化の進展に伴う構造的苦境に直面し、かつて800万を超えた紙の朝刊部数は3月末時点で約327万部にまで縮小している。
足元では新聞のデジタルシフトを加速させる一方で、AIがメディア業界を一変させる可能性も指摘されている。朝日新聞は今後どのようにメディアとしての持続可能性を担保していくのか。
東洋経済は、6月24日の株主総会を経て朝日新聞グループ全体を統括するCEO(最高経営責任者)に就任した角田克社長(60)にインタビューを実施。その内容を3回にわけてお届けする。後編となる本記事では、朝日新聞が今後目指していく報道、ジャーナリスト像、そして影響力を増すAIやSNSへの対応について考えを聞いた。(※インタビューは6月9日に実施)

記者の主張が入り込んで失敗してきた

――朝日新聞はもともと、リベラルなクオリティペーパーで左派寄り、あるいはネガティブな面でいうと「上から目線」といったイメージで長く語られてきたように思います。改めて今、どのようなメディアでありたいと考えていますか。

私は「3中」と言っているが、中心的メディア、中立、中庸でありたい。とくに中心的メディアでありたいと思っていて、そのために中立、中庸が必要になる。

えてして、朝日新聞の記事は記者の取材の中に主張が入り込むような形で、これまでいくつか失敗してきたというのが私の認識だ。今の人は、「朝日新聞の意見はいいよ」「ほかにこのテーマに対してはどんな意見があるの?それは自分が決める」というのが、メディアに対する視線だと思う。そういうときに強い主張を繰り返していくと、次世代の人たちに親しまれるメディアにはなれない。

私どもは私どもの取材結果を世の中に中立、中庸で出す。それに対し、社説も含めて「朝日新聞社はこう考える」ということは明確に出す。そして、「私どものほかにこういう考えもある」「あなたは自分の生活や学びの中で、どの主張を選びますか?」という姿勢を心がけないといけない。

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