
インディアナ州ニューカーライルの郊外にある1200エーカー(約500ヘクタール)の土地は、1年前はトウモロコシ畑だった。だが今、その肥沃な土壌には7棟のアマゾンデータセンターがそびえ立っている。それぞれの施設は、アメリカンフットボールのスタジアムよりも大きい。
アマゾンは今後数年間で、この土地に約30棟のデータセンターを建設する計画だ。これらのデータセンターには数十万個もの特殊なコンピューターチップが詰め込まれる。すべてのチップとコンピューターは数千キロメートルにも及ぶファイバーケーブルでつながれ、この大規模な複合施設全体が、AIのためだけに1つの巨大なマシンを形成することになる。
人間の脳を目指す「レーニア計画」
消費電力は2.2ギガワット。100万世帯分を優にまかなえる電力だ。さらにチップの過熱を防ぐために、毎年数百万リットルの水が使用されることになる。この複合施設は、人間の脳に匹敵するAIシステムの開発を目指すAIスタートアップ、アンソロピック1社のためだけに建設された。
上空からでないと全体像が見通せないほど巨大なこの大規模データセンター複合施設は、アマゾンが建設中の新世代データセンターの第1弾。同社のシアトル本社近くにそびえるレーニア山にちなんで「プロジェクト・レーニア」と名づけられた計画の一部を成す。
同プロジェクトではミシシッピ州にも施設を建設する予定で、ノースカロライナ州やペンシルベニア州など、ほかの地域にも建設される可能性がある。
テクノロジー業界では、ほんの数年前なら「ありえない」と思われていた巨大なデータセンターの建設競争が起きており、アマゾンもプロジェクト・レーニアでその競争に加わった。