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金相場は2026年に向けて3700~4000ドルへ上昇。上昇をもたらしてきた“5つの要因”を解き明かす

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イスラエルのテルアビブ上空でミサイルを迎撃するイスラエルの防空システム「アイアンドーム」
イスラエルが先制してイランを攻撃した(写真:AP/アフロ)

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インフレが進み、地政学リスクも高まる中、金と暗号資産「ビットコイン」は2025年に史上最高値を更新した。本特集「今こそ知りたい『金』『暗号資産』」を読めば、資産防衛のために今できることが見えてくる。

日本時間で6月13日午前。イスラエルによるイランの核関連施設と軍事施設への攻撃は、イラン側の報復攻撃を招き、両国は戦争状態へと突入した。

対立は中東地域の紛争拡大に発展するとの懸念から、金市場は逃避資金を集め、同日中に米ニューヨーク金先物価格は1トロイオンス3452.80ドルで取引を終えて、終値で史上最高値を更新。一報が伝わった初動で金は原油価格とともに、売り買い交錯で3400ドルの最高値圏のまま終了した。

軍事的衝突が発生した際、金価格がリスク回避の逃避資金を集め大きく上昇した1980年代の経験則から、「有事の金」という表現がある。米国と旧ソビエト連邦が2大大国として対峙していた東西冷戦期に生まれた言葉で、現在では「地政学リスク」のカテゴリーに含まれる。

ただし、軍事的有事の影響については、89年のベルリンの壁崩壊を受けた社会主義圏の市場経済化で大きく変化したことから、金市場で使われる機会は減っていた。米国独り勝ちの90年代から2010年代後半に至る約30年間は、地域紛争は起きても拡大は想定されなかった。金の有事反応は起きても一過性だった。

だが、第1次トランプ米政権(17〜20年)が中国と相互に関税を賦課し、2大大国間の貿易戦争となったのは記憶に新しいところだ。00年代に経済規模が急拡大した中国は、人口が米国の約4倍でGDP(国内総生産)ではなお格差は大きいが、米中対立の構図が台頭。実際に米国側が中国に対し、軍事的拡大や技術開発、外交活動を抑制する政策を展開した。両国は覇権争いの時代に突入、米1強は終焉に向かっている。

イスラエル・イラン紛争に対する金価格の反応だが、確かに初動での反応は大きかった。本稿執筆中(6月18日)でも、ニューヨークの金価格は、過去最高値圏となる3400ドル台を維持している。

変わり始めたプレーヤー

今回の金上昇で指摘しておきたい点がある。過去の事例と比べたプレーヤーの違いだ。今まで軍事衝突に対しての価格高騰といえば、目先のファンドの集中的な買いでもたらされることが一般的なパターンだった。そうした買いは見られるが、規模的には小さい。

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