
ゴールデンウィーク中の4月30日。田中貴金属直営店のギンザタナカ銀座本店では、開店時間の10時30分を前に整理券を持った数十人が並んでいた。店舗が開くや、エレベーターを使って、4階にある地金(じがね)・コインの購入・売却フロアへ向かった。
毎朝9時30分に表示される、その日の金(ゴールド)の店頭小売価格は1グラム1万6760円(税込み)。1年前、初めて1万円台に乗ったばかりだが、短期間での高騰ぶりに業界中が沸き立っている。
「顧客の年齢層は40〜60代がメインだが、最近では20〜30代も多くなってきている」(中村明生・銀座本店副店長)
10年前の3倍以上に
6月13日のイスラエルによるイランへの攻撃を受け、店頭小売価格は16日に1万7678円の史上最高値に到達。10年前、2015年の同じ日は5124円だったから、3倍以上だ。国内では円建てのため、対ドルで円安が進んだここ数年は、より恩恵が大きい。
一方、東京・丸の内に「ゴールドショップ三菱」を構えているのが、三菱マテリアル。同社は金販売では法人向けも強い。金地金や金貨もあるが、最も多いのは、毎月数千円など定額で金を購入する純金積立である。
「従来、価格高騰時には当社買取が多かったが、今は当社販売が増えている」(井川健一・製錬事業部貴金属部リテールグループ長)。つまり上がっても買う“順張り”の顧客が増えているのだ。目先が不安な時代、長期で上がる安心感から「金を持っておこう」との心理が働いている。
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