
約1年でテスラ超え――。といってもEV(電気自動車)の台数の話ではない。暗号資産(仮想通貨)のビットコインを企業として保有している量の話だ。東証スタンダード市場に上場するメタプラネットが達成した。
メタプラネットがビットコインを購入し始めたのは2024年4月。それから合計約1913億円を投じ、1万3350枚のビットコインを保有するまでになった。テスラ超えによって企業のビットコイン保有量で世界5位に浮上した(「Bitcoin Treasuries.NET」調べ)。
ホテル運営が主事業だったメタプラネットは、コロナ禍を受けて会社存続の危機にあった。だが、ビットコイン効果で2024年12月期には6期連続だった営業赤字を脱却。事業活動を継続できるか疑いのある会社だと監査法人が注意喚起したことを示す「継続企業の前提に関する注記」が決算短信などからなくなった。
さらに2025年3月、アメリカのドナルド・トランプ大統領の次男エリック・トランプ氏を「ストラテジック・ボード・オブ・アドバイザーズ」の初代メンバーとして招聘。エリック氏の顔の広さを活用し、世界におけるプレゼンスの確立を狙う。
時価総額とビットコイン保有額が大きく乖離
メタプラネットはビットコイン購入開始当初、「円の価値低下」への備えという自社の財務戦略を保有理由として主張していた。現在は「株主の皆様を代表して、慎重かつ迅速に、可能な限り多くのビットコインを蓄積する」とし、「これこそが中長期的な企業価値向上に資する」と説明する。
「自信から確信に変わった。結果もついてきている。進む方向はこれしかない」。メタプラネットCFOの王生貴久(いくるみ よしひさ)氏は1年間の手応えをそのように語る。ビットコイン購入に舵を切り、いいことづくしに見えるが、物議を醸しているのが同社の株価だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら