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〈横並びに異変〉ついに始まった「携帯料金値上げ」が浮き彫りにするキャリア4社の現在地 "官製値下げ"から4年、ドコモが口火を切るが…

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新プランを繰り出し、値上げへと踏み切ったNTTドコモとKDDI。この流れはどこまで波及するのか(撮影:尾形文繁)
2021年に菅義偉政権下で政府主導の値下げが進み、低水準で推移してきた携帯電話料金。あらゆるモノの値段が上昇するインフレ局面に日本が突入してもなお、通信業界では世の時流から取り残される形でキャリア各社の均衡状態が長く維持されてきた。
しかしここにきて、NTTドコモとKDDIが立て続けに値上げへと踏み切った。物価高の定着で消費者の価格転嫁に対する抵抗感は薄れており、かつてキャリアににらみを利かせた菅氏の「政治的存在感も低下している」(総務省幹部)。今後、業界では値上げ基調が続くのか。各社の戦略や決算を基に、前後編にわけて読み解く。

シェア低下に苦しむドコモの方針転換

官製値下げから4年、ようやく押し寄せてきた「値上げ」の波は広がるのか――。

通信キャリア最大手のNTTドコモは6月5日、新たなプラン「ドコモMAX」と「ドコモmini」などの提供を始めた。ドコモMAXの月額料(データ利用量無制限)は税込8448円。従来展開していた大容量帯の「eximo(エクシモ)」(月額同7315円)と比べ、スポーツの動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」の利用などを盛り込み、1000円以上の値上げとなった。

昨年秋、価格を据え置いたままでデータ量を増加する「実質値下げ」で業界を驚かせたドコモ。携帯電話契約数でシェア低下が続く中、親会社NTTの島田明社長が「シェア35%維持」を必達目標に掲げ、同10月に自社の格安ブランド「ahamo(アハモ)」のプランを見直した。

が、競合キャリアも即座に追随し、競争優位性は早々に失われた。島田社長は「(他社が)ドコモから取れないと思うところまでやり続ける」と強気の姿勢を崩さず、今後の価格戦略が注目されていた。

半年の時を経てドコモが出した答えは、追加の値下げではなく、付加サービスを盛り込んだうえでの値上げだった。ドコモの齋藤武副社長は4月24日の会見で、「価値を入れ込んだプランにして、お客様にその価値を選んでいただく。料金とデータ量だけでない競争軸で訴求したい」と語った。

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