ようやく訪れた通信業界の「値上げ局面」・・・慎重なソフトバンクと楽天モバイルの先行き占う懐事情 濃淡わかれたキャリア4社の価格戦略

限界近いが「競争にも負けたくない」
エンタメや通信品質という「付加価値」を武器に値上げに踏み切ったドコモとKDDIに対し、今後の動向が注目されているのが、ソフトバンクと楽天モバイルだ。
ソフトバンクはKDDIと同様、かねて物価高に伴う価格転嫁の重要性を指摘し、「中長期的には、物価上昇に応じた値上げが当たり前のようにできる市場になるとありがたい」(宮川潤一社長)という立場だった。
5月8日の決算会見で、宮川社長は2社の動きを「値下げが続いたデフレ業界の構造を何とか乗り越えようとコスト削減を続けてきたが、そろそろ限界に達しつつある。われわれもそろそろ同じような方向でいきたいと思っている」と歓迎した。ただ、自社の具体的な値上げについては「獲得競争にも負けたくない。どのタイミングがベストなのかは事業上の戦略として計算してみたい」と述べるにとどめた。
さらにその翌週の5月15日、三井住友カードとの包括業務提携に関する会見の場で宮川社長は「順調に入っていたお客様が値上げで入らなくなるのでは、との懸念も社内で考えている。携帯電話のインフレ対応という意味で、他の収益がついてきて値上げしなくて済むなら、本当は値上げしたくない」と、ややトーンダウンした様子も見せた。
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